今回は『無実の君が裁かれる理由』を読んでみました。 読了日:2024/11/19
この作品は、冤罪に巻き込まれた牟田が自身の冤罪を知り合いの手を借りつつはらし、その後周りで起こる冤罪について調査する物語です。
作品紹介
タイトル:『無実の君が裁かれる理由』
著者名 :友井羊
出版社 :祥伝社
発売日 :
単行本2019/8
文庫本2023/2
ページ数:
単行本251ページ
文庫本280ページ
(単行本)
(文庫本)
あらすじ
「とぼけてんじゃねえよ」
ストーカーと断罪された無実の僕は――
曖昧な記憶、そして作為と悪意。
こうして罪は作られる! 青春×冤罪ミステリ!あなたの冤罪、必ず晴らしてあげる――ストーカーを疑われた大学生の牟田幸司。周囲はまるで犯罪者扱い。だが、冤罪を研究しているという女子学生、紗雪が現れる。目撃や記憶など、人間の認知が驚くほど曖昧なことを紗雪は証明。疑いが晴れた。では、被害者を苦しめる真犯人とは、誰? 真実を追いはじめたふたりを、さらなる事件が待っていた!
引用サイト:無実の君が裁かれる理由 | 出版書誌データベース
冤罪事件から見えてくる多くのもの
読んだ理由
表紙は見たことがあって気になっていたから。
最近になって冤罪に纏わる出来事を多く見聞きしたから。
個人的なおすすめ度紹介
ストーリーの雰囲気・読みやすさ・過激表現(グロテスク描写など)・おすすめ度
こんな人におすすめ
冤罪とはどういくことなのか。を小説という立場からすこし読んで知りたい人。
冤罪をテーマにした作品を読んでみたい人。
感想
冤罪にまつわる連作短編の物語。
冤罪。
それは自分がいつどこで巻き込まれるか分からない。
無実なのだからいつかは分かってもらえれるだろう。という気持ちから、
今この詰められる辛さから逃れたい一心で自白してしまえばその決定を覆すのは難しい。
当然、犯罪はダメなことは当たり前である。
しかしその上で、
冤罪となった人。冤罪によって真犯人がうやむやになり、行き場の無い感情に暮れる被害者の想い。
さまざまな感情に晒され、今一度深く冤罪や犯罪について考えるきっかけになった作品。
人の記憶とは、深く曖昧なものである。
冤罪は身近に潜んでいるもであると作品を読んで改めて思い知らされた。
普通に生活をしていても、ただその場所にいたから・ただ見た顔が似ているように見えたから。
冤罪をかけられた人にとっては、ただそれだけのことで疑われているのか。と思うのは当たり前のことだと思う。
しかしそこには、明確な悪意をもってして犯行した犯人がいるわけで、どうにかして犯人を捕まえたい、どうにか償ってほしいと思うのもまた当然のことだとも思うわけで。
この作品には、どうやって冤罪が生まれるのか、どうして証言があるにも関わらず別人を晒し上げてしまうのか。丁寧に説明されている。
人間の認知というものが如何に、曖昧で不確かであるものか。
「こんな感じの人を見た気がする。」と思って、別人に一枚だけの写真を見せられたらその人であると、勝手に歪められてしまうこともある。
そういった人間の認知についての説明、解説が丁寧かつ分かりやすいので、数多ある事柄から間違えてしまうこともあるよなとも、思ってしまいました。
冤罪はないほうがいい。しかし、冤罪が生まれる背景には確かに犯罪を犯した人物もいるわけである。
犯罪はもちろん悪いこと。犯罪自体がないほうが当然いい。
もし自分が被害者やその近しい立場になったとしたら、犯人のことは許せないだろう。
最近起きている事件や、SNSの低年齢化。SNSの普及による犯罪行為。簡単には犯罪はなくならないだろうとは思う。が少しでも犯罪がなくなっていく世の中になればいいと思う。
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文庫本
最後に
冤罪についての話が説明を交えて丁寧に描かれている作品。
もし自分が、冤罪事件に巻き込まれてしまったら。
冤罪事件の知り合いだったら。
いったいどうするのか。それをこの作品を読んで考えてみるのもいいのではないだろうか。
読みやすい文章で、すっと入ってきやすい物語。
連作短編なので、時間がないときにも読みやすいと思うので
少しでも興味を持った人は読んでみて欲しい。
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