今回は『七つの海を照らす星』を読んでみました。 読了日:2024/12/25
この作品は、児童養護施設「七海学園」に勤める保育士・春菜の視点で語られる七つの不思議。連作短編集です。
作品紹介
タイトル:七つの海を照らす星
著者名 :七河迦南
出版社 :東京創元社
発売日 :
単行本2008/10
文庫本2013/5
ページ数:
単行本308ページ
文庫本402ページ
(文庫本)
あらすじ
家庭では暮らせない子どもたちの施設・七海学園で起きる、不可思議な事件の数々。行き止まりの階段から夏の幻のように消えた新入生、少女が六人揃うと“七人目”が囁く暗闇のトンネル……子どもたちが遭遇した奇妙な事件を解明すべく、保育士の北沢春菜は日々奮闘する。過去と現在を?ぐ六つの謎、そして全てを結ぶ七つ目の謎に隠された驚くべき真実。第18回鮎川哲也賞受賞作。解説=宇田川拓也
引用サイト:七つの海を照らす星 - 七河迦南|東京創元社
不可思議な謎に触れていく中で見えてくる側面
読んだ理由
ミステリーに興味があってミステリーなどに関する文学賞を検索している中で興味を持ったから
個人的なおすすめ度紹介
ストーリーの雰囲気・読みやすさ・過激表現(グロテスク描写など)・おすすめ度
こんな人におすすめ
七不思議が関わってくる作品が好きな人
心のこもったミステリーが好きな人
感想
家庭では暮らせない子どもたちの施設・七海学園が舞台となる。
学園に伝わっている七不思議が題材となったミステリーである。
七不思議と妙にリンクした新しい謎を保育士・春菜が様々な形で関わり、児相の海王さんに相談したり、親友の佳音に話す中で真実を見つけていく物語。
七不思議という現実にはあり得なさそうな事柄と、実際に今学園関係で起きている事柄が綺麗に絡まりあって面白さが何倍にもなっていると思った。
様々な謎があるこの作品。すっきり解決爽快という作品だけではない、どこかもにょるというかしっくりこない終わり方もあるがそれもまた日常の謎で面白いと感じた。
読み進めるごとに欠けていたピースが綺麗に合致する
一つ一つの謎をそれぞれ解決しながらも連動しながら進むミステリー。
作中の言葉つかいや言葉廻し。文章の使い方や言い回し。そのどれもが綺麗で巧みだと感じた。全体を通した物語の運びが綺麗でそう来るかとなる。
日常の謎ジャンルの作品といえども、所謂児童養護施設が舞台となるこの作品。あまり馴染みがなかったりどうしても偏見や、先入観といったものが少なからず入ってしまう。
その中でそこで生活する子どもたちの暮らしだったり、想いというものが丁寧にかつしっかりと描かれている。
今のこの時代こそ、集団生活や家庭の事情・法律の難しさ、どこまで介入していいのか、そこに子どもの気持ちがあるのか、といった様々なことを考える切っ掛けもなった。
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単行本
文庫本
最後に
ミステリーというものでありながらも、一冊を通して様々な謎が解かれ
綺麗にそして爽やかに終わるこの作品。
読んでいてとても楽しくもあり、ほっこりともした。
ぜひ読んでみてほしい。日常の謎ジャンル系が好きな人は特に。